
自分ができることと、人に教えられることは、同じではありません。動きを実演できても、「なぜこの種目を行うのか」「相手に合った難易度はどこか」「何を伝えれば動きが変わるのか」まで説明しようとすると、自分の理解が問われます。
カリステニクスの指導で大切にしたいのは、感覚だけに頼らず、目的と理由を言葉にできること。そして、その言葉を具体的なトレーニングにつなげられることです。
2026年9月21日・22日、CT認定トレーナー養成講座の第2期を大阪で開催しました。東京を離れての開催は、今回が初めてです。2日間、計14時間。初日は座学で土台をつくり、2日目は実技と指導練習を重ね、最後に認定試験で理解度を確認しました。
今回の講座で軸にしたのは、知識を増やすだけで終わらず、学んだことを「教える行動」に変えることです。大阪での2日間を通して、どのようにその橋渡しを行ったのかを紹介します。
2日間・計14時間で、理論と指導実践をつなぐ
講座は、座学と実技の役割を明確に分けて構成しました。初日に身体や運動の仕組みを学び、2日目にその知識を使って動き、相手に伝える。理解と実践を別々に終わらせず、つなげていく流れです。
- 1日目:全8講義の座学で、運動や身体、トレーニングの基礎を学ぶ。
- 2日目:全5講義の実技で、フォーム確認、声かけ、難易度の調整、プログラム作成を実践する。
- 最後:筆記による認定試験で、学習内容の理解度を確かめる。
種目を知っているだけでは、指導の判断まではできません。一方で、理論を理解していても、相手を前にすると説明がまとまらないことがあります。だからこそ、学ぶ時間と教える時間の両方が必要です。
今回の第2期は、全課程を終え、開催報告時点では認定試験の採点を進めている段階です。講座の修了と認定結果は分けて扱い、最後の試験まで含めて理解を確認しています。
1日目:座学で「なぜ」を説明する土台をつくる
1日目の座学は、理学療法士・アスレティックトレーナーの講師陣が担当しました。扱った領域は、基礎運動学・運動力学、機能解剖学、筋機能と神経生理学、フォームとよくあるエラー、トレーニング論、カリステニクストレーニング論Ⅰ・Ⅱです。
これらを全8講義で学びました。目の前の動きを、見た目の印象だけで判断するのではなく、身体の仕組みや運動の原理と結びつけて考えるための時間です。
動きを知ることと、動きの理由を知ること
基礎運動学・運動力学や機能解剖学は、身体の動きを理解する土台になります。筋機能と神経生理学も、その動きを支える仕組みを考えるための領域です。
指導では、動作の形を伝える場面だけでなく、その形にする理由を説明する場面もあります。身体の仕組みと動作を結びつけて理解していれば、説明は単なる手順の紹介ではなくなります。
大切なのは、専門用語を並べることではありません。学んだ知識を、自分の言葉で整理し、相手に伝わる説明へ変えることです。座学は、そのための土台として位置づけています。
フォームを見て、目的と照らし合わせる
フォームとよくあるエラーの講義では、動作を見るための理解を深めます。実技でフォームを確認する前に、何を考えながら動作を見るのかを学んでおく。その順序を大切にしました。
形だけを覚えると、説明も「こうしてください」で止まりがちです。そこにトレーニングの目的や身体の仕組みが結びつくと、なぜその動きを求めるのかを考えられるようになります。
カリステニクスの基礎と体系を学ぶことも、同じ意味を持ちます。個々の種目をばらばらに覚えるのではなく、トレーニング全体の中でどう位置づけるかを理解する。2日目の実践につながる準備です。
知識を整理し、確認する時間も設ける
座学は1コマ40分を基本とし、8コマの集中した構成です。関節の動きを言語化して学ぶ場面や、動作分析をクイズ形式で確かめる場面も設けました。
説明を聞いて理解したつもりでも、自分で答えようとすると曖昧な部分に気づくことがあります。確認する時間は、その曖昧さを見つける機会になります。
翌日の実技では、自分が説明する側に立ちます。だから、初日の段階から「自分ならどう説明するか」という視点を持つことが、理論と実践をつなぐうえで重要です。
第1期からの改善:説明は座学へ、実技は動く時間へ
第2期の構成は、第1期の受講生から寄せられた声を受けて見直しました。大きな変更点は、説明を座学に集め、実技は身体を動かして教え合う時間に振り切ったことです。
実技の時間に説明が長く続くと、自分で動く回数も、指導を試す機会も限られます。そこで、理論を学ぶ時間と、理論を使う時間の役割をより明確にしました。
座学で理由を理解し、実技でその理由を使う。同じ内容を繰り返し聞くのではなく、学んだことを別の形で扱う構成です。
これは、座学を軽くするという意味ではありません。実技を充実させるために、座学でしっかり土台をつくる。両方の時間を生かすための変更です。
2日目:全員が「教える側」を経験する
2日目は会場を移して実技へ。ウォームアップ、キューイング、基本エクササイズ、プログレッション&リグレッション、プログラムの組み方を、全5講義で扱いました。
実技では、講師が一人ずつフォームを確認する場面に加え、受講者同士で指導し合うペアワークを行いました。全員が、自分で動く側だけでなく、相手に教える側も経験しています。
自分の身体で理解することと、その理解を相手に渡すこと。この二つを行き来するのが、今回の実技の中心です。
基本エクササイズを、指導の視点で扱う
基本エクササイズの実践は、自分が動作をできるかどうかだけを確かめる時間ではありません。相手の動きを見て、必要な説明を考えるための時間でもあります。
教える役割に立つと、普段は意識せずに行っていることを言葉にする必要が出てきます。どこから説明するのか、何を見ているのか、何を相手に伝えたいのか。自分の理解を整理し直す場面になります。
講師によるフォーム確認と、受講者同士の指導練習を組み合わせることで、実践を自分の動作だけで終わらせない構成にしました。
キューイングを、実際の声かけで試す
キューイングは、動作を伝えるための声かけです。内容を知っていることと、実際に相手へ伝えられることには違いがあります。
説明する側には意味が通っていても、受け取る側には伝わりにくいことがあります。相手が動く場面で声をかけると、自分の言葉がどのように受け取られるかを確かめられます。
第2期では、声かけも実技の中で扱いました。知識として覚えるだけでなく、相手を前にして使う。その経験を重ねることが、指導の練習になります。
ペアワークで、理解を外に出す
ペアワークの特徴は、全員が教える役割を担うことです。誰かの説明を受けるだけでなく、自分の理解を言葉と行動にして外へ出します。
実際に教えると、説明が抜けていた部分や、うまく言語化できていない部分に気づくことがあります。反対に、相手から指導を受ける経験は、伝えられる側の立場を考える機会にもなります。
こうした役割の往復を通して、初日に学んだ理論を、具体的な指導へつなげていきました。

実技で価値を感じた二つのテーマ
受講後アンケートでは、実技で最も価値を感じたセッションとして、「プログレッション&リグレッション」と「プログラムの組み方」を挙げる声が集まりました。
どちらも、種目を知ることから一歩進んで、相手に合わせてトレーニングを考えるためのテーマです。
プログレッション&リグレッション:難易度を選ぶ
プログレッションは難易度を上げる方向、リグレッションは難易度を下げる方向の調整です。指導では、動作を提示するだけでなく、相手に合う段階を考えることが必要になります。
「できるか、できないか」だけで捉えると、その間にある選択肢が見えにくくなります。難易度を調整する視点があれば、同じ目的に向けて、どの段階を選ぶかという考え方ができます。
重要なのは、難しい動作へ進むこと自体を目的にしないことです。何を目指すトレーニングなのかを踏まえて、難易度を考える。プログレッションとリグレッションは、その判断を具体的にするテーマです。
プログラムの組み方:目的を内容へ落とし込む
プログラム作成は、知っている種目を並べるだけではありません。まず目的を整理し、その目的と実際に行う内容をつなげる必要があります。
今回、40代の会社員の受講生からは、トレーニングの目的や実施する理由を言葉にし、それを具体的な内容へ落とし込むことの重要性を学んだ、という感想が寄せられました。
この感想は、講座で大切にしたいことをよく表しています。「何をするか」の前に「何のためにするか」を明確にする。そして、理由を説明するだけで終わらず、実際のトレーニングへ結びつけることです。
プログレッション&リグレッションとプログラム作成は、別々の話ではありません。目的に合った内容を考え、その内容を相手に合う難易度に調整する。指導の中でつながる二つのテーマです。
最後は認定試験で、理解を確かめる
2日間の最後には、筆記による認定試験を実施しました。座学と実技で扱った内容について、理解度を確かめる時間です。
身体を動かして学ぶこと、相手に説明して学ぶこと、問いに答えて理解を確認すること。それぞれ違う形で、学習内容を扱います。
実技の手応えだけで講座を終えるのではなく、最後に理解を確かめる。その確認までを、2日間の全課程に含めています。

第3期は東京で、同じ内容を実施
第3期は、東京・渋谷エリアでの開催を案内しています。内容は、大阪で実施した第2期と同じです。
- 開催日:2026年10月11日(日)・12日(月・祝)
- 会場:東京・渋谷エリア
- 申込締切:2026年10月4日(日)23:59
- 定員:12名
講座の全体像は、無料オンライン説明会で確認できます。顔出しは不要です。また、学ぶ内容を整理して検討したい方には、全33ページの無料公式カリキュラムガイドも用意しています。
受講を考える際には、種目を増やしたいのか、理論を整理したいのか、それとも相手に伝える経験を積みたいのか、自分の目的を言葉にしてみてください。講座の内容と照らし合わせることで、学びたいことがより明確になります。
自分の練習を深めるための関連情報
指導を学ぶこととは別に、自分自身のカリステニクスを継続して学びたい方は、カリステニクス東京アカデミーの入会案内をご確認ください。トレーナー養成講座と日々のトレーニングでは目的が異なるため、今の自分に必要な学びを整理して選ぶことが大切です。
トレーニング用品については、カリステニクス東京公式ショップで確認できます。学ぶ場と練習の環境を、それぞれの目的に合わせて整えるための情報として活用してください。
まず、一つの種目の「目的」を言葉にする
大阪での第2期を通して大切にしたのは、知識、動作、指導を切り離さないことでした。座学で仕組みを理解し、実技で身体を動かし、ペアワークで相手に伝え、最後に試験で理解を確認する。その流れを2日間に組み込んでいます。
自分ができることを、相手にも伝えられるようにする。そのためには、経験を積むだけでなく、経験の中にある理由を整理する時間が必要です。
まずは、普段行っている種目を一つ選び、「何を目的に行っているか」「なぜこの種目なのか」「相手に教えるなら何を伝えるか」を言葉にしてみてください。
感覚で動けることを、理由を持って伝えられることへ。その一歩が、カリステニクスを教える力の土台になります。



